2024.05.30 20:30麦秋至24/72きょうから七十二候は24番目の麦秋至(むぎのときいたる)が始まります。麦は秋に種まきをして5月から6月に収穫期を迎えます。麦秋(ばくしゅう)は夏の季語。麦にとって稲のような実りの秋はこの時期ということで麦秋と表現します。かつては二毛作をしている農家が多かったのです。秋に収穫した稲の後に麦の種を播き5月から6月にかけて麦を収穫してから田植えをしていたのです。世界でもっとも多く収穫される穀物が麦。日本...
2024.05.29 20:26酢物語7 穀物酢2大麦だけを使用し、180g/1L以上の酢を大麦黒酢、麦芽酢、モルトビネガーと言います。褐色または黒色です。米酢、黒米酢、大麦黒酢でもない穀物酢が狭義の穀物酢です。有名なのは赤酢。酒粕を原料とした酢です。握り寿司用の酢飯に使われました。戦後の物資不足と米に毒素を出すカビがついて流通した事件により一般への流通が止まります。江戸時代から長く握り寿司の酢飯は赤茶けていました。ハト麦酢は健康食品として流通し...
2024.05.28 19:47酢物語6 穀物酢広義の醸造酢は穀物酢・果実酢・狭義の醸造酢に分けられます。広義の穀物酢は米酢・米黒酢・大麦黒酢・狭義の穀物酢に分けられます。広義の果実酢はリンゴ酢・ブドウ酢・狭義の果実酢に分けられます。狭義の醸造酢は穀物酢にも果実酢にも含まれない酢です。米酢は米の使用量が40g/1L以上のもの。米黒酢は(糠をとり切っていない)米の使用量が180g/1L以上のもので小麦や大麦を含んでもかまわないもの。褐色または黒褐...
2024.05.27 20:51酢物語5 食酢酢と酒は同じ部首をもちます。そのため酒との相性が良く、有史以前、酒が造られた時から酢も作られたと考えられます。フランス語で酢はvinaigre 、これは vin aigre (酸っぱいワイン)に由来します。1979年日本では日本農林規格で「食酢」という呼称になっています。江戸時代に米酢を使った早寿司によって酢は普及しますが、米酢はとても高価でした。そこで酒粕を原料とする酒粕酢が世界で初めて作られま...
2024.05.26 20:28酢物語4 柿酢糖質を含みアルコールになる原料があれば酢ができます。そのため世界にはたくさんの酢があります。穀物を原料とする穀物酢、果実を原料とする果実酢、酢酸を水で薄めて食品添加物を加える合成酢の3種類に大別されます。日本では米を原料とする米酢(穀物酢)が主流です。原料によって名前が異なります。米は米酢、玄米は黒酢、酒かすは赤酢、大麦は大麦黒酢。イギリスでは大麦を原料とするモルトビネガーが主流です。果実酢として...
2024.05.25 20:43紅花栄23/72きょうから七十二候は23番目の紅花栄(べにばなさかう)が始まります。紅花はサフラワー油や口紅の色素に使われます。しかし、6月から7月にかけて花を咲かせるので、この時期には咲きません。近年の解釈では「赤い花が咲く時期になった」と解釈されています。それはサツキツツジ。ちなみに紅花はキク科でエジプトが原産です。4000年も前から確認されています。エジプトでは古くから紅花色素を使って染色布や化粧品が作られ...
2024.05.24 19:47酢物語3 早寿司庶民が酢を日常的に使うようになったのは江戸時代中期(18世紀)以降です。酢は長く上流階級の高級調味料でした。それまでお寿司は魚をご飯と混ぜて乳酸発酵させた熟鮓(なれずし)でした。発酵食品なので酢は使われません。18世紀になり米酢が庶民に流通するようになり「早寿司」が誕生します。ご飯と酢を混ぜて作る押し寿司です。江戸時代後期(19世紀)には「握り寿司」が誕生。店に入ってさっと手で食べられる握り寿司は...
2024.05.23 19:13酢物語2 ポスカ古代ローマでは水にお酢を加えた「ポスカ」と呼ばれる飲み物が流行しました。栄養ドリンクの役目を果たし、兵士が飲んでいた記録があります。栄養不足を補い疲労回復に役立ちました。15世紀から17世紀のヨーロッパでは植民地政策から長期間大型帆船で世界を航海する必要が生じます。新鮮な野菜が不足し船員にビタミンC不足が生じ壊血病に罹患する者が多く出ました。そこで野菜を保存するために酢につけるピクルスが考案されま...
2024.05.22 20:12酢物語1 世界最古酢の原材料はアルコールです。微生物がアルコールを酢酸発酵して酢になります。日本では日本酒を原材料にした米酢が一般的。穀物や果物を原材料とした酢もあります。今から7000年前のイラク南部バビロニアでナツメヤシや干しブドウから酢を作っていたという記録が残っています。あらゆる調味料の記録としてはこれが最も古く、酢は世界最古の調味料と言われています。塩が記録に登場するのは今から4000年前なので、酢は塩よ...
2024.05.21 20:17醤油物語14 酸化防止1990年にキッコーマンは「特選丸大豆しょうゆ」を販売します。脱脂をしない本来の大豆(丸大豆)を原料として作る醤油を復活させました。醤油販売で長年課題だったのは開封後の酸化でした。とくに火入れをしない生醤油は穏やかな香りと鮮やかな色が特徴ですが、劣化速度が早く商品化が困難でした。2010年、開封後に空気が入るのを防ぐ逆止弁キャップが開発されました。これにより開封後90日間常温で品質が保持されるよう...
2024.05.20 19:52醤油物語13 JAS1963農畜産物の品質の安定と消費者保護のためにスタートした規格制度が日本農林規格(JAS)。1950年でした。醤油がJASに制定されたのは1963年です。それまでは比重のみの扱いでしたが、これにより特性、成分、色度が定義されます。1964年、醤油が中小企業近代化促進法の指定業種になり中小企業が協業化を進め全国各地で醤油の品質が改善されました。キッコーマンは原料不足で開発した方式を終了し1970年に100...
2024.05.19 20:51小満8/24きょうから二十四節気は8番目の小満(しょうまん)が始まります。草木が茂り天地に満ち始める時期です。麦の穂が育ち、山野の草木が結実する梅雨前の過ごしやすい時間をかつての人々は大事にしたのでしょう。昨今は冬が終わるとあっという間に大雨シーズンが来て猛暑の夏が長く続いていますね。秋に種を播いた麦がこの時期に穂を実らせるので農家の人たちが「小さく満足する」ので小満と呼ばれました。この時期の雨は麦雨。6月1...